20211030 東方最大離角の金星
- 大垣市金生山 -






天気予報は曇りだったが、雲に隠れる前に宵の明星が輝いた。
今日は金星の東方最大離角。
夕方の西の空高く、金星がひときわ明るく輝く。

12月4日には今年の最大光度、マイナス4.7等に達する。
これは1等星の100倍もの明るさで、最大光度付近では昼間でも金星を見つけることができる(ただし観察では、太陽を目に入れないように)。

ところで日本では星の信仰は意外と少ない。
よく知られているのは妙見信仰。
妙見菩薩とは北極星や北斗七星を神格化した仏教の天の1つで、北極星が天帝を表すとされ、古代中国では天上の最高神とされた。
ちなみに金生山明星輪寺の寺紋は九曜紋であるが、その中心の大きな円は天、つまり北極星と考えられている。

一方、虚空蔵菩薩信仰では「明けの明星」を虚空蔵菩薩の化身とする。
虚空蔵求聞持法とは1日に1万回虚空蔵菩薩の真言を唱え、100日目に明けの明星を仰ぐことであらゆる経典を身につけることができるとされている。
改めて言うまでもなく金生山明星輪寺の本尊は虚空蔵菩薩で、寺号の「明星」とは「明けの明星」つまり金星のことである。

ところで、明けの明星と宵の明星が同時に現れないこと、昼間には見られないことは昔からよく知られていた。これは金星の運行が周期的に交互に繰り返すこと、金星は地球の公転軌道の内側を公転する内惑星であることによる。
地球との会合周期は583.92日(約1年7か月)で、その5倍は地球の公転周期のほぼ8倍に相当する。したがって、8年間の間に明けの明星と宵の明星が5回ずつ見られることになる。
さて空海が室戸岬で修行したという虚空蔵求聞持法であるが、おそらく100日目に明けの明星が出現する時期を計算した上で修行に入ったと考えられる。
虚空蔵求聞持法は修行を始めて、100日目に明けの明星が見られる時期を選んで行われた修行法だった。


2021年10月30日17時36分撮影
47mm、ISO800、f5.6、0.6秒、Raw
α7RM3 + Tamron 28-75mm F/2.8 Di III VXD G2






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                                   (篠田通弘)